983: 名無しさん@HOME 2015/02/20(金) 17:45:17.80 0.net
叔父と母が喧嘩した時 
うちは多くの土地と、ある程度の発言力を持った富裕農家、地元では良く豪農と揶揄される。 
家名を大事にする家柄で世間体と言うものも相当に気にする。まあ典型的な自惚れが過ぎた自称名家。 

自分はそのせいで幼い頃から生け花、茶道、習字、琴などの家庭教師を充てがわれ、同年代の子と遊ぶことすら阻まれて過ごしてきた。 
身に付いて良かったと思う技能もあると今では実感出来るけれども幼い頃は窮屈でしょうがなかった。 

そんな息苦しい家庭環境の中で叔父と過ごす時間は唯一の楽しみだった。 

叔父は科学者で植物学、地質学、天文学など専門外の知識にも明るく、わからないことはなんでも答えてくれる博識な人だった。 
一方でエキセントリックな面も多分にあり、教授の論文を真っ向から否定し、ドロップキックを浴びせ学会から追放されたこともある。 
肩書きや家柄などの俗物と言われるものに執着しないボヘミアンな叔父に自分は憧れていた 

小学3年生の夏休み。家出したいと叔父に言ったら叔父は自分を連れ出してくれた





985: 975 2015/02/20(金) 17:47:47.40 0.net
蔵から古米と塩、醤油、薪を掠め取り、リヤカーに乗せ裏山に向かった。
秘密基地を作って、ザリガニ、カエル、川魚や山菜を取って食べたりした。
崩落事故で死んだ狸を解剖して死因を探ったり、夜には星を眺めて天文学を教えてくれた。

そんな家出生活が3週間過ぎた頃についに母に見つかった。前日に教えてもらって上げた狼煙が原因だった。

家に戻らされるとまず母は自分にビンタをして説教した。散々説教した後、次の標的は叔父だった。
ヒステリックに叫び、たまに頭を叩いたりしていた。良く覚えていないが、家名に傷を~とか子に悪影響が~とか言っていた気がする。
そんな母を尻目に叔父は小指で耳掃除しながらノホホンとしていた。

あらかた叫び散らして疲れている母を横目に、叔父は父に向かって
「こんな癇癪持ち捕まされて兄さんも大変だな」
と言って小指についた耳垢を母に吹きかけた。それがいけなかった

986: 975 2015/02/20(金) 17:48:27.02 0.net
母は筆舌し難い叫び声を上げ、木刀を手にして叔父に向かっていった。
叔父はそれを容易く受け止め、お腹にパンチを2発、前屈みになったところを顎にアッパーのような肘打ちした。
木刀を奪い、時代劇の介錯のような図になった。木刀を振り下ろす寸前で
「もういいだろ」
と父が叔父を止めた。

叔父は父に絶縁宣言をされ家を出た。自分は叔父について行きたいと言ったけれど、叔父は
「家は君を縛るかもしれないけれど、君を守ってくれるから僕と一緒はダメ」
と言って断った。
その後、自分はまた窮屈な暮らしに戻ったけれど、叔父と過ごした貴重な時間を反芻するだけで心が穏やかになって日々を過ごすことが出来た。

叔父の事はそれ以来、家庭内では禁句と言うのが暗黙の了解になっていた。
けれども、思い切って父や母に叔父について聞くと2人とも叔父の昔話をしてくれた。
父は叔父が羨ましいと良く言う。
母は叔父の事を苦々しい口調で語るけれど、最後はいつも「ほんっとに破天荒な人」と少し嬉しそうに言う。
多分、みんな本当は叔父が好きなんだと思う

叔父に会いたい

987: 名無しさん@HOME 2015/02/20(金) 17:55:10.23 O.net
>>986
金あるなら興信所一択や

990: 名無しさん@HOME 2015/02/20(金) 18:23:28.06 0.net
そんなに腕の立つ男が、女に腹パン二発アッパー一発決めた上木刀降り下ろそうとするなんて、人物描写が甘いわ

992: 名無しさん@HOME 2015/02/20(金) 22:17:35.59 0.net
>>990
本当だよね
なんだかんだ、家だけじゃなく娘としても大事に思ってる母親なんだろうに、3週間も行方不明になったらそりゃ叔父を〆たくもなるよ
なのに母親に必要でもない暴力振るった叔父を美しい思い出に解釈とかむりむりー

993: 名無しさん@HOME 2015/02/20(金) 22:41:50.64 0.net
それだけ辛かったんだろ
自分から家出たいって言ってるくらいだから

今までにあった最大の修羅場 £113 http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/live/1420345131/